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【京都】トークイベント「シェアキッチンって実際どうなの?」

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みなさんこんちは。
ライターのモリタテルヨシです。
読者のみなさんは「シェアキッチン」って言葉を知っていますか?
カフェやレストランの業態で、ひとつの店舗を複数人の店長さんが時間帯ごと、日替わり、週替わりなど定期ローテーションでシェアしてお店を開くというスタイルです。

飲食業界で徐々に増えてきているこのスタイルのお店の魅力と可能性をテーマに、トークイベントが開かれるというので、さっそく出かけてきました。

司会は大阪・住之江にある施設オスカードリームで3月にハイタッチというシェアキッチン・スタイルのカフェをオープンさせる株式会社NEXT ESTATE代表パンチさん。
登壇は京都のシェアキッチンカフェ、リバーサイドカフェの支配人で五島BAR店主の持木百合香さんと、出店者の立場からリバーサイドカフェ木曜昼枠でHUGO ROBERTOというコーヒーのお店を出されているサナエさん、そして大阪の中津で、古い長屋をリノベーションした施設キタの北ナガヤでシェアキッチンを運営するBatonship代表、小野達哉さんが、「町づくり」という観点も交えてシェアキッチンを語られます。

会場は「京都に住む友達の部屋」がコンセプトの宿泊施設NINIROOM(ニニルーム)です。
こちらも1階のカフェスペースでシェアキッチンスタイルの曜日替わりのランチ営業をされているスポットです。

この日の会場となったのは、丸太町の「HOSTEL NINIROOM」。

NINIROOMを運営する、西濱愛乃さんと西濱萌根さん。お2人の頭文字で“NINI”。

それではトークイベントの気になる中身をレポートしていきましょう。

ACT1 : リバーサイドカフェ 管理人 持木百合香さん

将来お店を持ちたい人も、そうでない人も、店舗運営を体験できるカフェ

初めまして。リバーサイドの持木です。
(リバーサイドカフェは)カウンターがアルファベットのJの字のようになっていて、席が10席あります。
それにソファー席が7人分あり、合計で17席のシェアカフェを営んでいます。私はオーナーではなくて、ここの立ち上げから企画・運営・管理に入った管理人という位置づけです。
なぜ管理人という呼び方なのかというと、リバーサイドハイツというアパートがもともとあったことに由来します。そこが古くて暗い感じで、空室率も高かったんです。それを当時の運営会社が「これからのアパートにはコミュニティーが必要なんじゃないか」と考えて、アパートの1階の奥まったところにカフェを作ることになりました。それがリバーサイドカフェの始まりです。
場所は出町柳の駅から北に8分のところです。下鴨神社が近くにあります。
400メートルぐらい桜の木が並ぶところにありますので、春はとても綺麗ですのでぜひ訪れてみてください。

朝・昼・夜、月曜日から日曜日まで全然違うお店さんが入っているというスペースなんですが、計21枠が今はすべて埋まっています。
2016年の1月にオープンして当時は8店舗から始めたんですが、半年ぐらいで10枠に増えました。当時は一人で3枠を持ってた店長さんもいらっしゃいました。
こちら(写真をプロジェクターに出しながら)は焼きそば専門店として焼きそばだけを出されていた方です。今では独立した店舗をお持ちなんですが、1年ぐらいリバーサイドカフェでお店をされて、自分のお店を持たれた方ですね。
他にバンドマンの方がお店をされたり、元祇園のママさんがお店をされたり、大学生の子がカフェをしていたこともありました。今も将来、お店を持ちたいからということで、今のうちにいろいろチャレンジしたいという意味合いでお店を出している人もいます。

やっぱり一度シェアカフェでお店を出すと、上司がいる状況と違って、全部一人で考えて広報から、メニュー決めから、実際のオペレーション、接客まで全部自分で考えてやらないといけないので、(店舗運営の)全部を一通り体験できるんですね。
自分でお店をするってなった時も「今は春だから、あのメニューを出そう!」とか頭の中に(アイデアや経験の)蓄積があるので良かったと、独立した方からお言葉をいただいていますね。
現在の枠も、世界で一番辛い料理といわれているブータン料理のお店をされてる方がいたり、出来たての和菓子を食べていただこうというコンセプトのお店などいろいろな店舗があります。今まで80店舗以上の店長さんが、リバーサイドカフェで店舗運営を体験しました。
私も水曜日の枠で自分の店をやっています。自分でもやってみたかったというのもあるのですが、やっぱり自分でやらないとわからないことが多すぎるな、というのがあって、五島列島出身なので五島列島のお酒やうどんを出しています。また、カフェの中の小部屋を管理人室としていただいたので、カフェに来るひとの楽しみのためにも雑貨屋を自分でやっています。五島列島のお店にしても雑貨屋にしても、自分の好きなことをやっていますが、自分の好きなことが、回り回って人のためになれば一番いい形だという考えで活動しています。
これも自分の好きなことをやっているので、自分の好きなことが人のためになればいいなという気持ちで活動しています。

 

管理人として大変だったこと

シェアカフェを運営する上で大変だったのが、人間関係といいますか、すごくいろんな人が来るんです。
だから人間関係上の軋轢とか、いろんな人にはいろんな「常識」があるな、というのが非常に大変でした。
使用済みの油を注ぐのに漏斗がないのでコーヒーポットを使ったり、そういう常識の違いっていうのを最初に想定して、何が起きてもどんと 構えるぐらいがシェアキッチンを運営する上ではいいのかなと思います。元は漏斗を用意してなかったこちらの落ち度だから漏斗を用意しておこうとか、自分の経験の蓄積にすればいいというのが大事な考え方なんじゃないでしょうか。
リバーサイドカフェのロゴを隠して看板を出したい人などもいました。うちとしてはリバーサイドカフェとして頑張って行きたかったので、悲しかったです。ですが、それも「こういう時はこう考えればいいんだ」という気づきにしてノウハウにしようという頭の切り替えが必要ですね。
こういうエピソードがあってから、出店に際して店長さんと面談する際には、ここは横の繋がりも大切にするコミュニティなんでということをしっかり最初に説明するようになりました。
そんなことがあってもリバーサイドカフェをすることで誰かの居場所になれるっていうのはすごく嬉しいことです。
お店を出す店長さんにとっても常連さんたちの居場所にもなっているので、自分のやりたいことと他の人に喜んでもらえることとの交差点が、シェアカフェなんだろうなと思います。あと先ほども話しましたがいろんな人と会い、関わるので、いろんな常識に出会い、それが自分の蓄積になるのがいいなと思います。

リバーサイドカフェについてはこちらも:
リバーサイドカフェ「店長の「好き」と「個性」が詰まったタイムシェアカフェ」
http://riverside-cafe.jp/

 

ACT2 : HUGO ROBERTO店長 サナエさん

出店者の立場からみたシェアキッチン

2017年に下鴨で開かれたコーヒーショップばかりが出店しているイベントに出店し、素人だったのですが600杯ぐらいを売り上げて、それでお店をやってもいけるんじゃないかと思いました。マキネッタ(イタリアのコーヒーを入れるためのポット)でコーヒーを入れるのが珍しかったんでしょうね。その時点で私は大小10以上のマキネッタを持っていたので、これでお店をやったら面白いんじゃないかと思いました。

そこで知り合いに教えてもらったリバーサイドカフェにお話を伺いに行きました。持木さんの笑顔のトラップにかかって出店することになりました(笑)
私のお店の枠は木曜日なのですが、その他の日は、デザイナーという仕事上、モニターだけをみて誰とも話さないで過ごすことが多いのですが、それとのギャップを楽しむ感覚で出店しています。
実際に出店するようになって、今でも毎回、出店前日にはめちゃくちゃ緊張します。シェアキッチン(シェアカフェ)というのは、意外と自分で持って行って、撤収時に持って帰るというモノが多いんです。以前、クリームパスタを出しますってSNSで宣伝して、生クリームを忘れてきたことがあったんです。それで開店の12時ちょうどに来てくれた常連さんに頭を下げて「(買いに)行ってきて!」ってお願いしました。
常連さんに助けていただくことも多くて、一人で店に入って洗い物していると、見兼ねた常連さんが「エプロンある?」って言って洗い物をしてくれたりとかして。最近は「参加型カフェだから」って言って洗脳してます。キッザニアだと思ってくださいって(笑)お客さんと一緒に楽しくやっているって感覚ですね。

 

シェアキッチンでお店をしていることと本業、生活とのマッチング

私は先ほども触れましたが普段の生活で、うちの旦那さん以外の人と話す機会がほとんどないので、ほぼ毎週来てくださる常連さんたちと会うのが楽しみです。
それと運動もしないので、フィットネスに行っているような気持ちでやっています(笑)
結構冷蔵庫が下の方に設置してあるので、スクワットをしているようで、次の日はヘトヘトです。

ACT3 : 大阪・中津 北ナガヤ 管理人 小野達哉さん

建物再生とシェアキッチン

みなさん、大阪の中津ってご存知ですか?大阪梅田のひとつ北の駅で、大阪では梅田の地区をキタと言いますが、そのまた北にある長屋ということで、「キタの北ナガヤ(以下、キタナガ)」という名前の複合施設の管理をしつつ、自分も一テナントとして、シェアキッチン、レンタルスペース、宿泊施設の運営をしています。
キタナガは、もともと賃貸物件の長屋なんですが共通の知人を通じて不動産オーナーをご紹介してもらい、私自身がこういった古い建物の再生活動をしていたので、壊してマンションにするか直すかという選択の際に直すことをご提案させていただいて、それで建物を直して再生するプロジェクトと、再生し終わってからの管理・運営を受託しました。

キタナガは1階が事務所、店舗で、2階は宿泊施設になっています。延床面積の3/4を私自身が借り受けて多目的スペースやマルシェができる空間などを運営しているのですが、その中にキタナガKITCHENというシェアキッチンがあります。テイクアウト専門、曜日で店長さんが変わるのが特徴です。
このキタナガKITCHENともうひとつ、Shitenという多目的レンタルスペースも運営しています。ホームページにあるように「視点」や「始点」、「支点」とか「支店」といった意味を持たせています。

 
建物の再生から始まる、自然な交流

私は建物の再生活動の一環で、こういったスペースの運営までしているわけですが、こういった建物を借りて何かをやるというのは、個人の方が何か新しいことを始めるのにすごく相性がいいと思っています。家賃も安く済みますし、自分のお店のカラーを出すのも古い建物の方がやりやすかったりするのではと思っています。先日、キタナガKITCHENを卒業して同じ中津で独立したお店をされている方と、ハイタッチさんがShitenでコラボをされて非常に嬉しかったです。
私はキタナガKITCHENやShitenのような取り組みは、「人と人との交流が自然発生的に生まれてくる装置」を作るという感覚で運営しています。
Shitenは2階建で、1階は土間キッチンを中心とした空間なため、飲食店や料理教室に向いていて、2階は小屋組現しと吹き抜けで開放的なフリースペースなので、展示販売会やものづくりワークショップ等に向いています。
利用料金は時間や用途で変えるという形をとっていて、不特定多数のいろんな方が来てくれて建物自体の広報になる飲食店イベントは安くするなど細かく設定していますので、お見積もりの際にイベントに合ったプランをご提案できます。

またキタナガKITCHENの裏側に露地庭があるのですが、そこもフリースペースとして運営・運用を任せていただいています。そこではイベントとして露地庭市というマルシェイベント等を行っています。キタナガがある場所は人通りが多い方ではなく、車も停められないのですが、しっかり広報してこういうイベントを開けば、いろんなところからの集客が見込めます。露地庭市はごちゃ混ぜ市で、たくさんの飲食店の他に、お花屋さんや帽子屋さん、花屋さんなど、様々な分野の料理家さんや作家さんにご参加いただいております。土日の2日開催で毎回1,000人から1,500人ぐらいの来場があります。
私はこのようなシェアキッチンやレンタルスペースといったものの意義を3つ掲げています。
まず、人と人との交流が自然な形で育まれる場所であるということ。ここで出会った方が友達になってということが自然と生まれているのは非常に嬉しいです。
あとは私自身もShitenやキタナガKITCHENを運営していることで、いろいろなクリエイターさんや料理人さんと知り合うことができ、Shitenを利用してくださった方が今度は露地庭市に出店してくださったりと、お付き合いがどんどん広がっていくのが非常に嬉しいです。
また、大家さん目線では、地域の賑わいづくりや、その街のファンづくりという形で、大家さんや街に貢献できる場合があると思います。

今、大阪メトロのCMで中津が選ばれていて、キタナガを大きくフィーチャーしていただいています。それは大阪メトロさんの方で「いい町だ」と思っていただいているんだろうなと思っていて、これについては不動産オーナーの方もすごく喜んでくださっていました。
建物再生の取り組みを続けていけば、(まだ利用価値のある)古い建物が壊されずに済みますし、今までの「物件ありきで利用者を探す」大家業から「こういう人に、こういう利用法をして欲しいので、それに合わせて改築する」といった、人ありきの大家業への逆転現象が、業界全体で起こるべきだと思いますし、もう起こり始めているのではないかと思っています。

キタの北ナガヤ
https://www.kitanaga.com/

いかがでしたか。
今回取材を担当した僕もブックセレクターとして複数人のブックセレクターが、それぞれの本棚を管理する、いわば「シェア書店」に参加しているのですが、やはりそこでの人との交流と、自前の店舗を構えてしまうとなかなかできないチャレンジができるというのが最大の魅力だと思います。
今や店舗運営は、文章を書いたり絵を描いたりするのと同じく、一種の自己表現の方法になりつつあります。
そういう個人の表現方法と町づくりが同軸で行われる新しい形を垣間見たトークイベントとなりました。

撮影:稲場啓太(いなフォト/https://inaphoto.shiga.jp/