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【映画】ハンサン ―龍の出現―

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豊臣秀吉が朝鮮に出兵した「文禄・慶長の役」において、大きな分岐点となった「閑山島海戦」を描くバトルエンタテインメント作品。朝鮮の英雄・李舜臣(イ・スンマン)と日本の名将・脇坂安治が、国の命運をかけた海上決戦で激突する。

1590年に北条氏を降して天下を統一した豊臣秀吉は、なにを血迷ったか次の狙いを明に定め、その足がかりとして朝鮮に出兵します。
「文禄の役」(1592年〜1593年)と「慶長の役」(1597年〜1598年)、総称して「文禄・慶長の役」と呼ばれる戦争です。

破竹の勢いで進撃する日本軍はわずか20日間で首都・漢陽(今のソウル)を陥落させます。王の宣祖(ソンジョ)は漢陽を逃れました。
そこに立ちふさがるのが今作の主人公、名将・李舜臣(イ・スンシン)です。
全羅左道水軍を率いるイ・スンシン(パク・ヘイル)は、「亀船」と呼ばれる特殊な戦艦を駆使し、日本水軍を相手に孤軍奮闘します。

これに相対するのが日本の名将・脇坂安治(ピョン・ヨハン)。

…なんですが、日本でもよく知られるイ・スンシンはいいとして、その敵役が…脇坂安治?加藤清正や小西行長、島津義弘といった有名どころでなくていいのか…?

Who is 脇坂安治?

「賤が岳の七本槍」の一人として知られる脇坂安治は、文禄・慶長の役では水軍の将として出兵します。
今作の冒頭では、陸戦でも活躍し、朝鮮勤王軍5万人をわずか2千の兵で撃破。日本軍屈指の名将として、朝鮮側から恐れられる存在として登場します。

とはいえ、同じ七本槍のメンバーでも加藤清正や福島正則といったスターとくらべると地味な存在です。それに脇坂安治に「名将」というイメージはありませんが…
今作より後の時代ですが、「関ヶ原の戦い」では西軍に属していながら途中で東軍に寝返っていて、なんだか印象も悪い…

ちなみに歴史シミュレーションゲーム『信長の野望』シリーズの最新版『新生』では、能力値が統率60・武勇69・知略54・政務43と、限りなく中途半端なものになっています。

当然ながら一般的な知名度はあまり高くはなく、映画やドラマなどの作品において重要な役どころで登場することもありません。かろうじて司馬遼太郎の短編小説『貂の皮』があるぐらいか…

このように日本国内ではいまいちマイナーな存在なので、今回のような大作映画で主人公の敵役というのは違和感がぬぐえません。「機動戦士ガンダム」で例えるならアムロの敵役がシャアではなくシャリア・ブルみたいな。いや、この例えはわかりにくいか…

しかしながら、韓国では救国の英雄であるイ・スンシンの好敵手としてよく知られているそうです。韓国のドラマ『不滅の李舜臣』や、映画『バトル・オーシャン 海上決戦』でも重要な役どころで登場します。

そんな脇坂安治ですが、実は京都に少しばかり所縁があります。

「中書島」の地名の由来

京都・伏見に「中書島」という地名があり、京阪電車に「中書島駅」がありますが、この地名は脇坂安治に由来します。

脇坂安治は「中務少輔」という官職に任官しており、この中務少輔を中国では「中書」といいます。
安土桃山時代、このあたりに宇治川の分流に囲まれた島があり、そこに脇坂安治が屋敷を建てて住んでいました。このことから「中書さまが住む屋敷のある島」というわけで「中書島」と呼ばれるようになったのです。
このあたりは「水戸の中納言(中国名は黄門)」だから「水戸黄門」というのと似てますな。

『ハンサン ―龍の出現―』

日本では無名なのに韓国では有名という珍しい存在である脇坂安治が、「日本軍最高の名将」として「英雄」イ・スンシンと激突するのが今作『ハンサン ―龍の出現―』です。

イ・スンシンを演じるのは新作『別れる決心』も話題のパク・ヘイル。脇坂安治はピョン・ヨハンが演じます。
日本の武将は日本人俳優に演じてほしいところではありますが、この手の作品に日本の俳優が出演するとネトウヨが騒ぎたてるかもしれないな…知らんけど。

他に有名どころでは黒田官兵衛、加藤嘉明、九鬼嘉隆、藤堂高虎、大谷吉継(らしき人物)などが登場しますが、すべて韓国の俳優が演じています。

余談ですが、九鬼家は嘉隆の孫の隆季が丹波綾部2万石の領主となり、幕末まで続いています。
こちらも京都に所縁がありますな。

監督は『バトル・オーシャン 海上決戦』のキム・ハンミン。韓国映画の歴代観客動員1位を記録した『バトル・オーシャン 海上決戦』に続き『ハンサン ―龍の出現―』も730万人を動員する大ヒットを記録しました。

京都に残る関連史跡

京都市東山区の豊国神社門前には、朝鮮出兵の際に戦功の証として明兵・朝鮮兵から削いで持ち帰った耳や鼻を葬った塚があります。
ここはもともと「鼻塚」と呼ばれていましたが、鼻を削ぐのは野蛮なので「耳塚」という呼称が広まったそうな。いや、どっちでも同じような…
約2万人分の耳と鼻が埋められているとされ、国の史跡に指定されていますが、なんだか不気味ではあります…

『ハンサン ―龍の出現―』
https://hansan-movie.com/