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映画『恐竜が教えてくれたこと』

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「死」を意識しはじめた時、少年は大人へ近づくー。
バカンスムービーの新たな名作!

映画『恐竜が教えてくれたこと』あらすじ

地球最後の恐竜は、自分が最後って知ってたのかな?

オランダ北部の島に、家族で夏のバカンスにきていた11歳の少年サム。
彼は、「地球最後の恐竜は、自分が最後って知ってたのかな」と悩む、小さな哲学者のような男の子。

そんな彼が不思議な魅力にあふれた少女テスと出会い、サムはテスにどんどん魅かれていく。

ある日サムは、テスからある重大なことを打ち明けられる。
死んだと知らされていたパパを、ママには内緒で島に招待したというのだ。

娘がいるなんて知らないパパに、娘の存在をどんな風に知らせるのか…
テスとサムの秘密の計画が実行される!

(公式ホームページより引用)

 

オランダの児童文学「ぼくとテスの秘密の七日間」が原作。

ひと夏の冒険を経て、人生の宝石を見つけたサムとテス。

美しい海とその風景をバックに、繰り広げられる“秘密の計画”は、子供たちだけでなく、多くの大人たちのかけがえのない思い出や記憶を呼び覚まし、生きていくことの豊かさを心に刻んでいくのだった…

色とりどりの思いが世代を超えてつながっていく、大人のための感動のファンタジー。

「死ぬって、何だろう」

誰しもが、少年時代や少女時代に、一度はベッドの中で「死」について考えたことがあると思います。
思春期に考える「死」は「自分の人生の終わり」というよりも「周りの人より僕(私)は先に死ぬのかな?」「みんなが死んだ後、僕(私)はひとりぼっちだ」というような「孤独」に結びつけて考えがちですよね。
「死」とは「自分が置いていかれること」だと。

今作『恐竜が教えてくれたこと』のサムも、「地球最後の恐竜は、自分が最後って知ってたのかな?」という子どもらしくもありながら、哲学的な疑問を持っています。
人にはいつか「死」がやってくるという事実に、彼は自分なりに向き合いはじめた「思春期」の男の子です。

そんな彼はパパやママなど、自分の周りの人々が全て死んで一人にになってしまった時のために、とある訓練をはじめます。
7日間のバカンスの中で、彼は一人の少女との出会いを通じて、彼は思春期の男の子から、一歩、大人の男へと近づきます。

舞台はオランダの北部のワッデン海に位置するテルスヘリング島。
降り注ぐ太陽の光。美しい砂浜、海。
画面からは常に柔らかな空気感が感じられます。

主人公サムが滞在するテルスヘリング島は「死」とはまるで正反対の世界にあるように思えます。
だからこそ、彼の意識する「死」が明確に浮き彫りにされ、7日間のバカンスという限定的な時間設定は、まるで子どもと大人の間にいる彼に与えられた最後の「考える時間」のように思えます。

少年の成長ものといえば、リチャード・リンクエイター監督の大傑作『6才のボクが、大人になるまで。』を思い浮かべます。
『6才のボクが、大人になるまで。』は撮影当時6歳だった主演のエラー・コルトレーンを実際に12年間撮影して、一本の映画にするという驚きの手法で、少年が大人の男になるまでを描き出し、大人になるとは一体どういうことなのか、という全ての人々に通じるテーマを見事に描き出していました。

今作のオープニングショットはまさに『6才のボクが、大人になるまで。』を思わせ、揺れ動く少年期の不安定さと、無限に広がる彼らの可能性を表しているようです。

また、島を舞台にしたボーイ・ミーツ・ガール物という点では、これもまた傑作のウェス・アンダーソン監督『ムーンライズ・キングダム』も思い起こします。
ウェス・アンダーソンほど完璧にコントロールされた画面構成というわけではないものの、あるカットで出てくる印象的なシンメトリックな構図や、暖色系で統一された画面の色調は『ムーンライズ・キングダム』からの影響を感じます。

『恐竜が教えてくれたこと』はバカンスムービーらしい、明るく楽しみやすい映画です(主要登場人物のサムとテス以外のキャラもものすごく魅力的!)。
原作は児童文学の名作だそうですが、充分に大人でも感情移入しやすい普遍的なテーマが盛り込まれています。

誰しもが考えたことのある「死ぬって、何だろう」というテーマ。
そして、サムはひとつの答えにたどり着きます。

7日間のバカンスを通して、「少年」から「大人」へ一歩近づくサム。
その瑞々しさは児童文学が原作ならでは。
しかし、昔は少年少女だった大人だからこそ、映画の奥に隠されているテーマを感じ取れるかもしれません。

そして、「死」について、自分だけの答えが見つかるかも。
大人にもオススメの一本です。

『6才のボクが、大人になるまで。』

『ムーンライズ・キングダム』

『恐竜が教えてくれたこと』

京都では京都シネマにて2020年4月18日(土)から公開(予定)
監督/ステフェン・ワウテルロウト
出演/ソンニ・ファンウッテレン、ヨセフィーン・アレンセン、ユリアン・ラス
http://kyoryu.ayapro.ne.jp/

掲載情報は配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。