映画 すべてが過剰な娯楽アクション『サーホー』 2020.03.26 映画 映画『サーホー』あらすじ 大都市ワージー。ここでは幾つもの犯罪組織が街を支配している。 ある日、それら組織の頂点に君臨する初老ロイが交通事故に見せかけて殺される。組織のメンバーであり実力者の1人であるデウラージが後継者の座を狙うが、ロイの息子も新たなボスとして名乗りを上げる。 それぞれの思惑が交差する中、ムンバイでは3億ドル相当の大規模な窃盗事件が発生。IB潜入捜査官アショーク(プラバース)は相棒の女性警察官アムリタ―(シュラッダー・カプール)等と共に、事件を捜査する。(公式ホームページより引用) お、お、お、面白すぎるぞ!!! 世界中を熱狂の渦に巻き込んだ『バーフバリシリーズ』は、とんでもないスケール感と、とにかく全てが過剰な演出、想像を遥かに超えるド派手なアクションで、改めて「映画」が持つ底知れぬパワーを見せつけた大傑作でした。 今作『サーホー』は、その『バーフバリシリーズ』で確立した過剰でド派手な娯楽アクションの様式を、現代を舞台に移し、再構築したインド産クライム・アクション。 ですが、そこはド派手!過剰!娯楽!に徹しているインド映画。クライム・アクションとジャンルを括っても、一味も二味も違うのです。 今作の主人公は、IB捜査官であるアショーク(演じるプラバースはバーフバリシリーズでも主演を務めていました)は、大都市ワージーで起こった大規模な窃盗事件を女性警察官アムリター(シュラッダー・カプール)と共に事件を捜査するがー。というのが、冒頭のあらすじです。 しかし、この冒頭のシーンから、いい意味でも悪い意味でも「オーソドックス」な演出が続きます。 「つまらない訳ではない…だが、何かが足りない…」。 ここ近年の過剰なインド映画に慣れてしまっていると、かなり順当なノワールもの、というか、「案外普通の映画だな…」ってちょっと肩透かしをくらいます。主人公ではあるアショークも華はありますが、正直なところバーフバリに比べて、魅力に欠けるキャラクターだなあ、と感じてしまってました。 しかし!しかしながら!前半80分。ある驚きの展開を迎えてからは物語は一変!映画は全く別の表情を見せ、主人公でアショークもぐぐぐっと魅力的なキャラクターになり、映画が加速度的に面白くなっていきます! そして裏切り、工作、復讐。そして愛。どんでん返しに次ぐどんでん返しで、物語は息つかせぬスピードで展開。そして、「ええ!マジで!?」と思わず声を出したくなるような驚愕のラストへ我々は連れて行かれます。ああ!話したい!でもネタバレできない!! また、今作の見所は、派手に派手を掛け合わせたようなアクションシーン。『ミッション・インポッシブル』シリーズを思わせる体を張ったスタントシーンや、『ワイルドスピード』シリーズばりに車を壊しまくるカーチェイスシーン。近年ではアクション映画に新たな機軸を打ち立てている『ジョン・ウィック』シリーズからは、彷彿とさせる空間を大きく使ったガンアクション。他にも『ザ・レイド』の息詰まる肉弾戦(シラットを彷彿とさせるシーンがあるのも嬉しい!)や、『オールドボーイ』から横スクロールの喧嘩シーンなど、東西南北のアクション映画の名シーン、名アクションをリスペクトした場面場面には、映画への愛が溢れています。 二転三転する物語展開。過剰なアクションシーン、ロマンス。ここまでいろいろな要素を盛り込みすぎると、映画全体がとっ散らかりそうなものですが、これを収束させて、万人が「面白い!」と言える作品まで仕上げたスジート監督の手腕は見事。 『サーホー』。とにかく圧巻の一作です。インド産娯楽映画の恐るべきパワー。ボリウッドはまだまだ底が知れないぞ! これを映画館で見ないのはもったいない!ぜひ、劇場へ! 『バーフバリ』についてもっと詳しく知りたい方はこちら: 『サーホー』 監督/スジート出演/プラバース、シュラッダー・カプール、マンディラ・ベティ カラムーチョ伊地知 プロフィール 「働きながら、自分の生き方、居場所を模索する複業家に、勇気をー」をテーマにしたWebメディア『ニソクノワラジ』で企画・編... Tweet シェア 投稿者: カラムーチョ伊地知映画movix京都, カラムーチョ伊地知, サーホー, 映画 若い頃に果たせなかった夢を実現『イーディ、83歳 はじめての山登り』 ホセ・ムヒカの功績と過去に迫るドキュメンタリー『世界でいちばん貧しい大...