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映画『シェイクスピアの庭』

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『シェイクスピアの庭』あらすじ

1613年6月29日、『ヘンリー八世』(発表当時のタイトルは All is True)上演中にグローブ座を焼き尽くした大火災の後、断筆したシェイクスピア(ケネス・ブラナー)は故郷へ戻った。

20余年ものあいだ、めったに会うことのなかった主人の突然の帰還。8つ年上の妻アン(ジュディ・デンチ)と未婚の次女ジュディス(キャスリン・ワイルダー)、町医者に嫁いだ長女スザンナ(リディア・ウィルソン)は、驚きと戸惑いを隠せずにいた。

そんな家族をよそに、17年前に11歳で他界したジュディスの双子の弟ハムネット(サム・エリス)の死に取り憑かれたシェイクスピアは、愛する息子を悼む庭を造り始める。

ロンドンで執筆活動に勤しんでいた長いあいだに生じた家族との溝はなかなか埋まらなかったが、気付かなかった家族の秘めた思いや受け入れ難い事実が徐々に露わになってゆく…

すべてを知り尽くしていたはずの天才劇作家シェイクスピアでさえ知らなかった驚愕の事実が、彼の家族のなかに潜んでいたのだった―。

(公式サイトより引用)

400年経っても、仕事から退いた男の苦悩は変わらない。

ウィリアム・シェイクスピアといえば、没後400年以上経ってもいまだに戯曲が上演され続ける偉大な詩人であり、劇作家。その生涯は、謎が多いことで有名です。

今作では、『ヘンリー八世』の上映中、グローブ座が焼け落ちてしまったことをきっかけに、当時49歳だったシェイクスピアが故郷へ帰るところから物語が始まります。

失意のまま、断筆を決意し、帰郷したシェイクスピア。しかし、20年以上も家族をないがしろにし、己が表現の道を突き進んできた彼に、家族は冷たく当たります。

妻からも「”お客様”のベッドは最上のものを用意してますよ」なんて嫌味を言われ(妻役のジュディ・デンチの目の冷たいこと!)娘たちは突然帰宅し、同居することになった父との関係に困惑します。

「この世のすべてを知り尽くした」と評される彼が、妻に突き放され、娘たちとの関係に悩み、地域からも蔑視の目を向けられる・・・。その人間的な姿はまさしく定年退職後のお父さん!

今作で描き出されるのは、神格化された天才劇作家ではなく、ひとりの人間の姿。仕事人から突如として父、そして夫である自分に向き合わなければならなくなった男の苦悩です。

伝説化、神格化されたシェイクスピアを、ぐっと我々の身近なものに、そして現代に生きる我々でも共感できる存在へと押し上げたのは、監督であり主演を務めるケネス・ブラナーの演出力と演技力があってこそ。筋金入りのシェイクスピアフリークだからこその、人間・シェイクスピアに対する愛溢れる目線と、深い考察が画面を通じて伝わってきます。

妻役を演じるジュディ・デンチや、シェイクスピアが想いを寄せていたというサウサンプトン伯役のイアン・マッケランなど、理解が深いシェイクスピア劇の常連だからこその演技が、物語に圧倒的な”説得力”をもたらしています。

また今作の白眉なのが、絵画を想わせる撮影と美術。

光と影を巧みに使った画面構成は、時に美しく、そして時にはゾッとする1600年代のヨーロッパが孕んでいた”残酷さ”を浮かび上がらせているように思えます。

物語が進むにつれ、シェイクスピアとその家族は、17年前に疫病で死んだというハムネットという息子の死の悲しみに取り憑かれていることがわかってきます。その死を悼む庭を作り始めるシェイクスピア。

しかし、「この世のすべてを知っている」と評されるほどのシェイクスピアでも知り得なかった驚愕の事実が徐々に露わになっていきますー。

ひとりの男の苦悩、そして家族の再生の物語を描く、シェイクスピアのことを知っている方も、知らない方でも楽しめる一作。オススメです!

『シェイクスピアの庭』

京都では京都シネマにて2020年3月21日(土)より公開
監督/ケネス・ブラナー
出演/ケネス・ブラナー、ジュディ・デンチ、イアン・マッケラン
http://hark3.com/allistrue/
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