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映画『白い暴動』

映画

音楽が世界を変えたー
約40年前の”真実”を映し出した傑作ドキュメンタリー

映画『白い暴動』あらすじ

経済破綻状態にあった1970年代のイギリス。
市民が抱いていた不安と不満は、第二次世界大戦後に増加した移民たちへ転嫁されていった。
街は暴力であふれかえり、黒人やアジア人が襲われた。

そのなかで、レッド・ソーンダズを中心に数人の仲間たちで発足された“ロック・アゲインスト・レイシズム” 略称RARは、人種や生まれによる差別の撤廃を主張し、雑誌を自費出版して抗議活動を始める。
RARの発信するメッセージはやがてザ・クラッシュをはじめ、トム・ロビンソンスティール・パルス等の音楽と結びつき、支持されていく。

1978年4月30日、RARが決行した約10万人による大規模なデモ行進と、その終着地での音楽フェスは市民が一つになった瞬間であり、観る者の心を揺さぶる。

監督はBBCでドキュメンタリー番組を手掛けてきたルビカ・シャー
彼女自身もアジア系移民の家族に生まれ、両親が直面した人種差別について聞き興味を抱いた事で製作を決意。

わずかな若者たちから始まり、時代を動かす程の運動へと拡がった若者たちの闘いに、当時の貴重なアーカイブと本人たちへのインタビュー、彼らに賛同したアーティストたちの圧巻のパフォーマンスで迫る。

(公式サイトより引用)

photograph by Syd Shelton

我々は音楽で世界を変えた。では今の君たちはー。

今作『白い暴動』は経済破綻状態で市民に不安が広がっている1970年代のイギリスの姿を生々しく描写するドキュメンタリー。

経済破綻によって、市民の不満や鬱憤はすでに破裂寸前。
そしてそれは。増加する移民に向き、ついには黒人やアジア人に対する暴力事件にも発展。
さらに、右翼政党が徐々に支持を集めていきます。

そんな中、レッド・ソーンダズ”ロック・アゲインスト・レイシズム”(略称RAR)を結成。
右翼政党が台頭しつつあるイギリス内で差別の撤廃を主張し、それはやがて、ザ・クラッシュトム・ロビンソンスティール・パルスといったバンドたちに波及していきます。

今作のクライマックスは1978年4月30日に行われた10万人規模のデモ行進と、その終着地で行われたライブイベントなのですが、クライマックスまでに主にRAR関係者のインタビューを通して語られる差別意識が市民の中にも蔓延しつつあった1970年代のイギリス国内の現状(スターであるデヴィット・ボウイエリッククラプトンが差別発言をしているシーンはとてもショッキング!)や、RARが刊行していた自費出版の雑誌やチラシを基にしたコラージュ風の映像で、当時の問題意識と、若者が抱えていた危機感をクライマックス寸前までに積み上げていきます。

ここまでの構成がとにかく丁寧。作中でも「ウッドストックでもやるつもりなのか」と揶揄されるRAR主催のイベントですが、今作はそのイベントの単なる舞台裏ドキュメンタリーになっておらず、ほんの数人ではじめたRARの活動がどのようにしてミュージシャンたちを動かし、市民の心を揺さぶり、そして本当のウッドストックよろしく世界を変えてしまったのか。

人々を突き動かした”暴動の裏側”を描いています。

『白い暴動』で映し出されているイギリスの姿は、決して”別の時代の別の国”ではなく、今を生きる我々の世界と、社会と地続きであると訴えかけてきます。

「音楽は世界を変えられない」とは、とかく語られがちな言葉ではあります。

自分の想いや考えを「主張」することに対し、冷ややかな視線を送る社会において、ネットで様々な情報媒体やSNSが人々の拠り所になっている今、「音楽」という曖昧で抽象的なものが人々を突き動かし、また心をひとつにするのはより難しい時代なのかもしれません。

しかし、1978年代というたった40年前にロックが、パンクが、レゲエが、少なくない人々の心を突き動かし、そして実際に社会に大きな影響を与えたという事実は、差別のみならず、様々な問題を抱える社会に生きる我々に大きな勇気を与えてくれます。

今を生きる私たちだからこそ、必ず見るべき一本です。

photograph by Syd Shelton

『白い暴動』

京都では京都みなみ会館にて2020年4月17日(金)より公開(予定)。
監督/ルビカ・シャー
http://whiteriot-movie.com/

掲載情報は配信時のものです。現在の内容と異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。