【京都市下京区】京都のシンボル「京都タワー」
京都駅中央口(烏丸口)のほぼ正面に位置する京都タワーは、京都市内で最も高い建造物です。ビルの高さは31メートル、タワーの高さは100メートルあり、合わせて131メートルになります。
タワーが完成したのは1964年2月。1953年(昭和28年)、京都駅の北に建っていた京都中央郵便局が移転することになり、移転後の跡地に建設されました。
当初は巨大なタワーを建設することは考えられていなかったのですが、建築家の山田守の設計管理、京都大学の棚橋諒教授の構造設計によって、タワーを建造することが決定します。その際、東京タワーのような鉄骨による無骨なタワーでは京都の表玄関にはふさわしくないということで、白い円筒状のデザインが採用されました。
その外観から「ろうそく」をモチーフとしていると勘違いされがちな京都タワーですが、実は「灯台」をモチーフとしています。これは家々の瓦屋根を波に見立て、海のない京都の街並みを照らすとされています。とはいえ、肝心の家々がビルやマンションになってしまい、“波”のほうがなくなってしまいましたが…
建設時には反対も
京都タワーは当初、古都である京都にこのような建造物が必要なのか意見が分かれ、建設をめぐって論争が起きました。
当時は「東寺の五重の塔よりも高いものは建てない」という暗黙のルールのようなものがあり、景観との調和も問題になりました。
政財界を中心とする建設賛成派と、学者や川端康成、谷崎潤一郎、司馬遼太郎といった文化人を中心とする建設反対派が議論を交わしましたが、これが日本で初めての都市の美観論争だといわれています。
建設時にはそのような経緯もあった京都タワーですが、現在では京都市のシンボルとして市民に親しまれています。
内部は台座部分にはホテルや名店街が入居し、タワーの部分は展望台となっています。2013年(平成25年)には、2014年(平成26年)の開業50周年に向けてリニューアルオープン。より市民や観光客に親しまれるスポットとなりました。
2024年(令和6年)からは地元企業でモーター大手のニデック(元日本電産)との間で命名権契約を締結。同年の4月から2029年3月末までの5年間、名称が「ニデック京都タワー」となります。
もっとも、「ニデック京都タワー」と呼ぶ人はいませんが。それどころか、日本電産が「ニデック」になったのも知らない人が多いような気がする…
参考文献
内田樹・白井聡『属国民主主義論』東洋経済新報社(https://amzn.to/3Z6ZPba)
京都タワー
住所/京都市下京区東塩小路町721-1
電話/075-361-3215(平日 10:00〜17:00)
Webサイト/https://www.kyoto-tower.jp/